例文
The campaign brought honours and promotion to many, but for me it had nothing but misfortune and disaster.
引き続き、シャーロック・ホームズの『緋色の研究』です。
単語の意味
・campaign(kæmˈpeɪn)=軍事行動(名)
・honour(ˈɒnə)=名誉・栄光(名)
・promotion(prəˈməʊʃən)=昇進(名)
・misfortune(mɪsˈfɔːʧən)=不運・災難(名)
・disaster(dɪˈzɑːstə)=災害・惨事(名)
構造
The campaign brought honours and promotion to many, but for me it had nothing but misfortune and disaster.
この文の『構造』は、上のようになります。
[but]の前後で、2文あるので、『構造』も2つです。
文法事項
[nothing but]
[nothing but]は、「~だけ、~のみ」と訳されます。
それでいいわけですが、ここでは直読直解の観点から分析してみます。
[but]には、接続詞と前置詞があります。
ここではどちらでしょうか?
[but]の後には、[misfortune](不運)、[disaster](惨事)という名詞があります。
接続詞であれば、その前後の名詞が対等の関係になければなりません(等位接続詞)。
ここで、[nothing]には、“つまらない人(物)”という名詞があります。
この名詞と[misfortune](不運)、[disaster](惨事)という名詞はどう考えても、対等関係にありません。
ということは、この[but]は接続詞としての[but]ではない、ということになります。
ですので、考えられるのは、前置詞としての[but]となります。
前置詞としての[but]には、“~を除いて”、“~以外に”という意味があります(Genius 5th)。
これで、[nothing but]の分析は完成です。
要するに、
~ it had nothing but misfortune and disaster.
は、
“それは、何も持たなかった、不運と惨事以外に。”
ということになります。
品詞分析
[nothing but]は熟語といえますので、最終的には覚えるべきなのですが、“語”の品詞を分析し、直読直解をしてから覚えるのと、丸暗記するのとでは記憶への負担もだいぶ変わってくると思います。
文法は苦手だ、嫌だ、という意識を持たれる方も多いかと思いますが、言葉はルール、つまり文法に則って用いられていますから、その文法(ルール)を理解することが結局は英文読解への最短コースだと思います。
文法理解の際、“語”の品詞を分析することは必須になります。
最初は苦痛だと思いますが、必ず文法を習得して、英文を読解することができる日がやってきます。
そのお手伝いをこれからもしていきたいと思います。
和訳
直訳調
その軍事行動は、もたらした、名誉と昇進を、多くに、だが、私にとって、それは、何も持たなかった、不運と惨事以外に。
自然な日本語
その軍事行動は、多くの軍人に名誉と昇進をもたらしたが、私にとっては、その軍事行動は不運と惨事以外に何物ももたらさなかった。
「不運と惨事以外に何物ももたらさなかった=不運と惨事しかもたらさなかった」
今回のポイント
今回のポイントは1点です。
1 品詞分析をすることが英文読解への最短コース!
---緋色の研究編-6-終---
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it had nothing but misfortune and disaster
のhadはhad brought ではないと思うのです。
何の意味も持たなかったということだと思うのです。
それで、次のように出撃以外が不運と悲劇に他ならないと
いう風に訳しました。
出撃は多くの人に名誉と昇進をもたらしたが、僕には不運と悲劇以外の
何物でもなかった。
アリストテレス 様
コメントありがとうございます。
おっしゃるとおりです。
前半部分の「名誉と昇進をもたらした」との訳に合わせて訳を試みた次第です。