目次
- 1 例文
- 2 単語の意味
- 3 [Markus Buehler, an associate professor of civil and environmental engineering,]
- 4 [previously analyzed]
- 5 『構造』
- 6 [the complex structure of spider silk]
- 7 ここまでの文の仕組み
- 8 [, which gains strength from different kinds of molecular interactions at different scales.]
- 9 [, which]
- 10 和訳
- 11 追記(関係代名詞の限定用法と非限定用法の違いについて)
例文
[Markus Buehler, an associate professor of civil and environmental engineering, previously analyzed the complex structure of spider silk, which gains strength from different kinds of molecular interactions at different scales.]
前回から引き続き2013年度の東大英語を検討します。
単語の意味
まず、単語をチェックしておきます。
・civil and environmental engineering「土木・環境工学」
・different「様々な」
・molecular「分子の」
・interaction「相互作用」
ここでは、多義的な単語である”different”に要注意です。”違った”がよく知られている意味ですが、”様々な”という意味もあります。”違っている”ということは、”様々にある”ということですから、関連させて覚えておくと良いと思います。
[Markus Buehler, an associate professor of civil and environmental engineering,]
Markus Buehlerは人名です。
その直後に [,](コンマ) で囲まれた句があります。
[, an associate professor of civil and environmental engineering,]の部分です。
この部分は、挿入句です。Markus Buehler という人の説明を付け加えているのです。
Markusさんは、[an associate professor of civil and environmental engineering] つまり、”土木・環境工学の準教授なのだが”、という情報が挿入されています。
[previously analyzed]
[previously]は”以前に”という副詞で、[analyze]は”分析する”という動詞です。
”以前に分析した”という意味です。
ここまでで、この文の『構造』が分かります。
『構造』
[Markus Buehler, an associate professor of civil and environmental engineering,](=S)
[(previously) analyzed](=V)
という『構造』を持ちます。
挿入句と[previously]という副詞を除けばもっと分かりやすくなります。
Markus Buehler(=S) analyzed(=V)
がこの文の『構造』です。
Markus準教授は、何を分析したのでしょうか?
[the complex structure of spider silk]
[the complex structure]=複雑な構造
ですから、この部分は、”蜘蛛の糸の複雑な構造”という意味です。分析の対象ですね。
[Markus Buehler analyzed the complex structure of spider silk]で”Markus Buehler準教授は、蜘蛛の糸の複雑な構造を分析した”という意味になります。
ここまでの文の仕組み
S + V という『構造』に目的語(O)が加わった文になります。
図示しますと、下のようになります。
Markus Buehler(=S) analyzed(=V) 目的語(=O)
おなじみの S + V + O です。
[, which gains strength from different kinds of molecular interactions at different scales.]
この部分は何でしょうか?
[, which]で続いています。
[,]は短い休止を表します。これまでの話を少し休止して関連する情報を追加、挿入する場合に使うことが多い記号です。
ちょっと休止して、[which]が続いています。”どれかというと・・・”です。この[which]は前の[the complex structure of spider silk]を説明する関係代名詞です。
ただ、これまで出てきた関係代名詞とは少し違います。関係代名詞[which]の前に、[,]があります。
この英文を正確に理解するためには、この[,]の理解が重要となります。
[, which]
[,]は小休止の意味です。ですから、[, which]で[the complex structure of spider silk]を説明する場合も、[,]のない関係代名詞とは働きが違ってきます。
先行詞(この文では[the complex structure of spider silk]です)を限定するわけではありません。新たな情報を付加するというイメージです。
具体的には、[the complex structure of spider silk] (=”蜘蛛の巣の複雑な構造”これが[, which]の先行詞です。)、”この構造は、強靱さを獲得しているんだが”というのが、[, which gains strength]の意味になります。
[from different kinds of molecular interactions at different scales] は、”様々な規模における多様な分子の相互作用から”という意味です。
[, which gains strenght from different kinds of molecular interactions at different scales.] は、
この構造は、様々な規模における多様な分子の相互作用から強靱さを獲得しているんだが。
という意味になります。
和訳
Markus Buehlerは、(彼は土木・環境工学の準教授なのだが)、以前に蜘蛛の糸の複雑な構造を分析した、(その構造は様々な規模における多様な分子の相互作用から強靱さを獲得しているんだが)。
直訳的ですが、こういう意味になります。
ただ、英文を直読直解するためには、直訳で良いと思います。その方がネイティブの発想をトレースすることができ、英作文にも役に立つからです。
「英文を和訳せよ」という問題が出題されても、まずは直訳をして、その訳をこなれた日本語に訳するという2段階の作業を経た方が英語の勉強として汎用性があります。
追記(関係代名詞の限定用法と非限定用法の違いについて)
a) The flowers which she planted in the front yard are growing well.
b) The flowers, which she planted in the front yard, are growing well.(江川泰一郎『英文法解説[改訂三版]』<金子書房、2005年>76ページ)
が分かりやすい例です。
a)「その花」、彼女が前庭に植えたその花。
b)「その花」、彼女はその花を前庭に植えたんだけどね。
と言っています。
つまり、
a)の[The flower]とは、彼女が前庭に植えた花に限定されています。a)は、後庭にも花を植えた可能性を示す文です。
b)の[The flower]とは、彼女が持っていた花は全部前庭に植えた、ということを言っている文です。
[,](=小休止)のあるなしで全く意味が違ってきますので、要注意です。
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